柔らかい、穏やかな笑顔の中にある湖の瞳。小鳥サワさん(86)。この世に生を受けた時から今日までずっと、阿寒の大地と共に生きてきた。そして彼女の28人の孫、ひ孫の中で唯一同じ伝統文化を継承する鰹屋エリカさん(30)。半世紀の年の差を越えて二人の道を同じように照らすものがあるー。「アイヌ古式舞踊」だ。 サワさんの少女時代は湖で泳ぎ、クロユリの咲く野山を駈けるおてんば娘。熊祭やお正月には、溢れるような楽しい気持ちで踊りを踊った。それが国内外から訪れる多くの人を魅了するアイヌ古式舞踊の始まりだった。 「踊りは型だけではない。心を伝えていかなければ。だからエリカにはがんばんなさいって言い続けてるの。にくまれ役ね」 孫を思う気持ちと伝統を思う気持ちが重なる。皆いつか伝える時がくる。歌の力、踊りの楽しさを。 そして照らされた道を自分の足で歩んで行く−。 小さな発見 ――今、自分にできること。 踊りが好き。自分には勉強したいことがたくさんある。山のこと、暮しのこと、言葉、そして歌、踊り。生活の原点がすべてここ阿寒湖にあるから。 「同じ歌でもばあちゃんの歌が一番格好いい。あんな節まわしで自分も歌えるようになりたい。」そして一番の夢は「いい踊り手になることー。」自分もいつか小さな子どもたちに伝えていけるよう、ずっとここで踊り続けたいと願う。
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