曇天の阿寒川にフィッシングウエアをビシッと決めた集団。手には、なぜか竿ではなくゴミ袋?!阿寒川が遊漁解禁になる5月、阿寒プロジェクトのメンバーがゴミ拾いをはじめて、もう4年になる。そして、今年からバリバリのフィッシャーマンに混じって町内のちびっ子が5名。「ジュニア」と呼ばれる彼らの今日が活動デビューの日。「自然保護なんて大げさなものじゃない。これは自分たちのためなんだ。ただ、自分たちの釣り場をこの子たちの世代にも残したいだけ」。そんな潔いまでの思いが、地道に身近な自然を守り続けている。
堅いあいさつもなく「そろそろはじめるかー」と、そこは釣り仲間らしいスタートのゴミ拾い。その言葉とは裏腹に、それぞれが各所へと散っていく。さすがはこの川を熟知した人たちだ。
そんな大人たちを見て、ジュニアたちも積極的にゴミを拾いはじめる。自然の状態が残る阿寒川は、流れに入らないと進めない場所や、長ぐつが沈んでしまうほどぬかるんだ所もある。急な斜面を登ったり降りたりしながら、子どもたちは笑顔で、そして真剣にゴミを拾う。「なんでこんな所にゴミ、捨てるかなー」と中井宏樹くん(小5)。少し怒った顔になる。「いっぱい拾ったよー」と満足気な関向純気くん(5歳)。
「むずかしいことは語らなくても、ゴミを拾うことも釣りの一部だっていうことを体験的に感じてくれればいい」と阿寒プロジェクト代表の関向強さんは言う。「僕自身だって、釣りが好き、川が好き、だから…それだけなんです」
もちろんゴミ拾いの後は釣りのレッスン。こちらも真剣にメンバーから手ほどきを受ける。
「魚は何を食べてるんだろう」「川のどんな場所に魚はいるんだろう」と、釣りって自然の仕組みを知るための素敵な体験なんだって思えた。
阿寒川の上流部はキャッチ&リリースゾーンです。キャッチ&リリースとは、釣った魚を生きたまま放すことで、乱獲による魚の減少から川の生態系が壊れないようにと世界的に広がっている釣りのルール。シングルフック、バーブレスフックといって、一本の竿に針を一つ、針の「かえし」のないものを使用するのも、魚にダメージを与えないためのルールです。
阿寒プロジェクトは釣り人の視点でこうしたルールの普及を進め、自分たちにとっての釣り場である自然を守る活動をしています。年に数回のゴミ拾いのほか、シカの食害から川や湖を取り囲む森林を守るネット巻きの活動や、子どもたちに川の生態系を体験してもらうための水生昆虫(魚のエサとなっている虫)の観察会なども行っています。
Copyright© 2001-2005 Challenge Network Vollunteer Action All Rights Reserved. 不許複製