もし自分の街が「さびれてる」なんて言われたらどうする?出ていく?釧路市の白樺台の人たちは違った。「きれいな街になって見返してやる!」と、花いっぱい運動を始めて8年目。今年も1万株の花々で街を飾ろうと、16日の土起こし作業に集まったのは、子供からお年寄りまで100人余り。街の沿道に広がった、皆がスコップ片手に土と挌闘する光景は教えてくれた。ソウナンダ。こんな風に皆が一緒に動き出すことが、どんな花よりも街を飾るんだ―。小さな街に、ちょっとまぶしい「やる気」を発見。
「毎年、30人くらいなのに、今年はスゴイい、100人以上来てる」と声を高ぶらせるのは、白樺台花いっぱい運動の会の高橋好一会長。もっと多くの人を運動に巻き込みたいと、初めて1600枚ものチラシを地区の全戸に配るなどの声掛けの成果が出た。
「改めて一人一人にじっくり思いを語るとね、ほとんどが一緒にやりたいって言ってくれる。誰も手伝ってくれない―って文句言うのは違うんだ。呼び掛けが足りない、相手に思いが伝わってないってことなんだ。同じ思いは、みんな持ってるんだよ」。校区の付属中の福西悠人君(1年)は、日曜日にも関わらず文苑の自宅から駆けつけた。「土を触るの好きだし、付属は中学からだから、まだ白樺のことよく知らないけど、ふだんは話すことのない地域の人たちと一緒に何かするって面白いかなと思ったから」。
一緒に熱心に雑草とりをしていた内田大資君(付属中1年)。ギャグを飛ばし賑やかにしていたと思ったら「花や植物が好き。教室の花が枯れたのがすごく悔しくて、参加した。ここで花が咲くのを、絶対に見たい」と真剣な顔で話す。この土にどんな思いを託すんだろう―。花と一緒に成長する少年たちに、満開の頃、また会いたいナ。
団地入り口の沿道では、ずらっとベテラン勢が並び土をが起こす。さすが作業も早い。白樺台に住み20年余りという長井毅さん(67)は2回目の参加。
「道が花で飾られるとね、車で通る人たが皆見ていく。住んでいる者も気持がいい。そんなの見てたら、わたしも年も年だし、街のためになること少しでもやった方がいいんじゃないかって思ったのさ。自分が住んでるとこなんだしね。暮らしやすい方がいい」。そんな話しを聞かせてくれた長井さんを、周りのギャラリーがひやかす光景がなんだか微笑ましい。そうかぁ、畑仕事が、人が集うコミュニティーづくりになっているんだ。
「みんなの心の花を咲かせるのもこの運動の目的」と高橋会長。あなたの街でも咲いていますか、心の花―。
この運動のきっかけを作ったのは8年前、バザーの益金で300株の花を沿道に植える活動を始めた地域の女性有志の会「すみれ会」の皆さん。その一人、中嶋セツ子さん(56)に聞きました。「古い街なのに、近くに住んでいる者同士、話しをすることもないよね―って雑談の中で上がったのがきっかけでした。ただ集まってお茶飲むだけじゃなくて、皆が一つになって取り組めることをしようよって話しになった時、白樺台再開発への住民運動がつながりました。何の力もないわたしたちでも、花を植えることならできるんじゃないかって、最初は7人程で始めました。運動に多くの方が参加してくれるようになって、街に住民の輪が広がり、8年間の活動が少しずつ育っているのを実感します」
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