古ぼけた画面の無効に、釧路湿原の林の中を飛び交う無数の昆虫たち。今は76歳となったアマチュアカメラマンが35年前に撮影したものだ。「映像は自然の変化を何よりも語る」と過去に撮影された釧路地域の自然風景をまとめDVDで資料化しようと活動する人がいある。札幌市在住の吉崎文浩さん(60)。モノクロ画面に広がるヨシがうっそうと繁りうねうねと蛇行する河岸。30年程前、釧路川を自らゴムボートで下り撮影した。「言葉にかえられない生きた記録を次世代に」とカメラが見つめてきた自然の足跡をたどる人だ。
「湿原は生きている」
「環境問題や自然の変化が学術的に議論されていますが、今ひとつピンときていない人が多いはず。映像なら誰にでもその変化が一目でわかります」。
そう言って、吉崎さんが見せる映像は釧路の76歳のカメラマンが35年前に撮影した自然ドキュメント。タイトルは「湿原は生きている」。
食虫植物のモウセンゴケが虫を捕まえ溶かしていく瞬間、フクジュソウのつぼみが雪の中から顔を出し、ちょっぴり照れくさそうに花びらを開いていく姿、湿原にポツリと落ちた雨だれが、3粒、5粒と広がりやがて草原を覆う雨へと広がる光景―と自然が奏でる物語を実写で語る。
吉崎さんが注目したのはその中に見える明らかな自然の変化。画面の中には現在の湿原では見ることの少なくなった昆虫が多く見える。草原の潤いは今問題視されている乾燥化以前のものだ。
釧路生まれの釧路育ち。就職後も30代前半までは釧路で勤務。その後、転勤で各地を異動し昨年26年ぶりに故郷に戻り、驚いたのが自然の変化。
30年前の釧路川130キロ
釧路にまだ住んでいたちょうど30年程前。釧路湿原の国立公園指定より10年以上も前のこと、まだ「カヌー」なんて誰も乗っていなかった頃だ。釧路川を屈斜路湖の源流から下りその130キロ余りの行程を撮影するという無謀な計画に挑戦した。
当時のモノクロの8ミリフィルムは伝える。釧路川のうねうねとした蛇行。川岸までせりだす植物の群落。26年ぶりに帰ってきた釧路川の姿はあまりに変わっていた。街では「自然再生」も議論されていたが何かが伝わらない。「フィルムは語っている」、そう気づいた。
失った物の大切さ
計画するのは、釧路地域の70代を越えたカメラマンたちが撮り続けてきた自然映像のDVDによる資料化。目下、コツコツと作業を始めたところ。環境活動の財産になると成果に自信はある。
「撮影者が高齢化しているから、早くしないと作品も消滅します。失った自然のせめて記録だけでも残さないと、わたしたちは失った物の大切さも忘れてしまう」
過去から今へ―そこにあった物からのメッセージを伝えようと動き出す。
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