今年の釧路はいまだ夏とは思えない寒さ。それでも祭りシーズンはやってきた。「わっしょい、わっしょい」という雄壮なかけ声で9日、釧路市の厳島神社をスタートしたみこし行列。粋なベテラン勢に混ざりところどころに見えたのが緊張気味の表情で重そうに肩を揺らす人たち。この日が晴れの「おみこしデビュー」の面々。伝統文化は新たな人材に受け継がれなければ街には残らない。担い手になってくれるかな?そんな期待で厳島神社例大祭みこし行列を23?追跡リポート!
埼玉県人、釧路で担ぐ!
午前8時、真っ白な衣装「白丁(はくちょう)」をまとい集まった男達は130人。ここの神様が女なので担ぎ手は男性限定。女性には女神様がやきもちを焼くからだそう。こんなたくましい男達に守られたら、そりゃあ女冥利だ。
でもたくましさにはもう一息の「初めてのおみこし」組を発見。「皆、ワイルドでかっこいいっすね―」と、ちょっとバテ気味の顔でベテラン勢を見渡す道教大釧路校1年の野沢剛志さん(24)。埼玉県出身。社会人入学で今春、釧路までやってきた。
「埼玉でも担いだことなかったんで、越したばっかりの釧路祭りに参加できて嬉しいっす」。
先輩の“技”に敬服
ずらった並んだ坊主頭は釧路工業高校野球部の総勢26人。「皆、自分たちとは肩への乗せ方が全然違うんですよ」と笠原宙太君(2年)。「わっしょい」のかけ声役に抜擢された山本周史君(1年)は「ベテランの方は声の出し方が全然違う。なかなかああはできないです―」とともに先輩たちの“技”にかなり敬服した様子だ。若者にこれだけ格好いいと思わせる大人、最近じゃぁそうそういないんじゃない?。
この日の仕切り役は、道内でも第一人者として知られる鈴木協さん(57)。若者も魅了するカッコイイ担ぎ手たちは50代前後が中心だ。若手不足は今、大きな課題という。
「やっぱり若い方がパワーもあるしへたばらん。年寄りばっかりでやってたら伝統も消える。新しい人にどんどん担いでもらわないと」と、ポンと若者たちの肩を叩く。
「コツが分かると軽くなる」
釧路西高校の増井翔太君(3年)。「最初は棒に肩も届かなくて重かった。うまい人が隣に入るとふわっと軽くなる。それを見てるうちにだんだんコツが分かって軽くなってきた。面白い!来年も担ぎたいです」。そんな頼もしい言葉をくれた。
午後4時半、やっと神社に着いた時には初参加組も同じ様に熱気を帯びた顔。祭りの本当のアツさはこれなんだ―夕暮れの境内が輝いて見えた。
みんなも、おみこしやろ―!
釧路市内の各神社のお祭りでもみこしの担ぎ手の初体験者、大歓迎だそうです。8月6日には三吉神社、10日に共栄稲荷神社、9月14日、15日には鳥取神社でみこし行列があります。希望者は各神社に申し出てくださ―い。ベテランさんたちがしっかり伝統の技を伝授してくれます。8月上旬発行予定の「じゅう箱のスミ」8号にもみこしが登場!お楽しみに。
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