18日土曜日の夜、釧路市北大通の喫茶リリーに招かれた取材班。聞こえてきたのはアコーディオンの軽快な音色。店内いっぱいのお客さんはコーヒーを前に「椰子の実」「月の砂漠」などの名曲をそろって口ずさむ。「うたごえ喫茶18番」、合唱団アンラコロが偶数月の18日に開催し、もう33年間も続いている活動だ。歌といえば今じゃカラオケが定番だけど、生の演奏で皆で歌う―そんなあったかさが恋しくて集う人たちがいた。
「お・は・こ」だから18番
「次は『黒い瞳』いきま―す」
代表の伊藤俊雄さん(59)がリードをとると店内の皆さんがパラパラと歌集をめくりアコーディオンとピアノに合わせ一斉に歌い出す。もちろんノンアルコール。カラオケ世代の取材班にはかなり新鮮な光景だ。1960年代から70年代にかけて全国的にブームとなったこの「うたごえ喫茶」活動。合唱団アンラコロでも団発足の72年に開始し、ブーム下火後も中断することなく現在まで続けている。開催日が18日なのは「おはこ=18番」にあやかってだそう。
みんなで歌うから楽しい
背筋をシャンと伸ばし歌う姿が目にとまった岡田孝夫さん(57)は5年前から参加している。もともと歌好き。カラオケにもはまったが、この会に参加して皆で歌う楽しさに気づいた。合唱団にも入団。「ここで知ったのは歌を通した出会いの楽しさ」とまた背筋を伸ばす。お気に入りの曲は「知床旅情」だ。
「20代の頃はうたごえサークルが流行っていてねよく歌いました。知人から誘われて来るようになっんですが青春時代を思い起こして楽しいいです」とは安川さき子さん(62)。
思い出の曲、1人じゃなくて
事故で29歳で他界したご主人と結婚式でデュエットした思い出の曲「どこまでも幸せを求めて」。ここでなら、1人じゃなく皆と一緒に歌えることが「何より嬉しい」と懐かし気に目を細める。
アコーディオンの内山博さん(60)は代表の伊藤さんともども合唱団発足以来のメンバー。内山さんがこの楽器を抱えると、うたごえ喫茶始まりの合図。それが33年間の定番だ。
「マイクを使わず思いきり声を出すことは健康にもいいんですよ。アコーディオンのちょっと憂いのある音はとても人間的。だから皆、歌いたくなるんです」。この愛器、内山さんは“動くオーケストラ”と呼ぶ。
全国的にも今、うたごえ喫茶ブームは再燃の兆し。「レパートリーも見直して、若い人にも来てもらえるようにしたいなぁ」とは代表の伊藤さん。あなたの18番(おはこ)、皆と一緒に歌ってみない?
みんなで歌っちゃお―!!
次回の「うたごえ喫茶18番」は8月18日午後7時から。会場の北大通5の喫茶リリーは今年で創業70周年の老舗なのだ。参加料は飲み物付き500円。問い合わせは伊藤さん(22―0261)まで。
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