2月のとある火曜日、釧路市昭和の特別養護老人ホーム百花苑が、元気いっぱいの小さな笑顔でお日様が差し込んだみたいに明るくなった。やってきたのは昭和どんぐり保育園の子どもたち。何をするって訳じゃなく、ただホームの皆さんと一緒に遊んだり、おしゃべりすることがこの日の子どもたちの活動。「来てくれるだけで嬉しい」と涙を流すお年寄りの姿が教えてくれた。そこにいることが嬉しいボランティアもあるんだな。
きっかけは「おさんぽ」
どんぐりの家保育園のみんなが百花苑のお年寄りを訪ねるのはこれが3回目。きっかけは「夏のおさんぽ」。
去年の夏のこと。「今日はもっと歩いてみよう!」といつもより足を伸ばしてみた子どもたち。けれど、日差しを浴びてのどはカラカラ。そこにあったのが百花苑。「お水を飲ませてもらえませんか」とお願いしたところ、出してくれたのは冷たい冷たいジュース!
出し物ナシ!!
そんなホームの皆さんの優しい気持ちにお礼をと後日、運動会のお遊戯をホームで披露。お年寄りからの大きな拍手が嬉しくて、次は太鼓とソーラン節を見てもらった。でもお披露目だけじゃ、何かもの足りない。今回は“出し物”はナシ。お部屋を訪問して、おしゃべりしたり遊んだり、ただ一緒に時間を過ごすことにした。そう、近所のお年寄りのお家にふらっと遊びに行くみたいにね。
この日やって来たのは4歳から6歳の26人。最初は恥ずかしくて、なかなか話しかけられなかったけど、だんだん仲良くなってきたゾ。あやとりを教えてもらったり、折り紙を折ったり。お年寄りの顔もなんだか活き活きしてきたみたい。
「今は祖父母が若いのに加え、同居している家族も少ないので、子どもたちにとってお年寄りはほとんど接する機会のない存在。行事としてじゃなく、自然な形で子どもたちにふれあってもらいたいんです」と同保育園の柏木ナオミ園長。
「子どもたちが来るだけで皆表情が輝いて、いつもは反応のない方でも、表情豊かになるんです。子どもたちは来てくれるだけで大きなボランティア」とはホームの介護福祉士の山崎由香里さん。
こんどは「どんぐり」に来てね
帰り際「こんどは、どんぐりに来てください」と声をかける子どもたちの手をギュっと握りしめるお年寄りたち。小さくて大きなボランティア見つけた。
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