「川レンジャー」って知ってる?この子ども番組のヒーローみたいな名前、実は釧路湿原の自然について、もっと興味を持って、理解して、守っていこうという人たちの集まり。年に数回、釧路湿原や釧路川での学習会をしたり、清掃活動などをしている。今回は、湿原の中で、国の天然記念物にも指定されている、キラコタン岬での学習会に同行。そこで、自然の優しさ、厳しさを足で確かめ続ける「歩き」のスペシャリストを発見。ハプニングが、思わぬ深い感動につながる一日となった。
地域の手で湿原保全を
釧路湿原川レンジャーは、住民レベルでもっと釧路湿原の素晴らしさを理解してもらい、地域の手で湿原の保全を考えてもらおうと、平成12年から釧路開発建設部治水課がはじめた活動。5年目の今年度は登録者121名。今回は、多くの会員の念願でもあったというキラコタン岬への学習会に25名の川レジャー
が参加。アウトドアでは結構知られる、匆々たるメンバーも多かったけど、まるで子どもの遠足のようなきらきらの目でバスに乗り込んだ。
「歩き」のスペシャリスト登場
ところが現地到着直後、突然の雷雨に立ち往生。一時は中止と思われたそんな時、親しみやすい物言いで自己紹介をはじめ、その場を和ませたのが今回のツアーの案内人、臺野正一さん(65)。臺野さんは四国出身。高校時代に旅行したことを機に、北海道に魅せられ、卒業後移住。3年かけて当時のクラスメイトだった奥さん、邦子さん(65)を口説き落とし呼び寄せ、以来、北海道中を夫婦で歩きまわる「歩き」のスペシャリストだ。「子どもが留守番できる年になった頃から、本格的に山歩きをはじめた。自然は歩いてみないとわからない魅力がいっぱいある。歩いてみなければ守りたいなんて思わない」と語る臺野さんは、山歩会という登山グループの会長を6年間つとめ、たくさんの人を大雪山などへ案内している。「いつでも妻が先頭を歩き、き、わたしが最後尾を歩くんです。それが連れて行く人間の責任だから」とは、自然は美しいだけじゃない、幾度とない厳しい体験からきている。「遭難現場に 遭遇し、みんなで泣きながら手を合わせてその前を通ったこともあった」という。
自然は教えてくれる
「それでも人が山へ行くのは、自然がいろいろなことを教えてくれるから。美しさ。厳しさ。その中で生かされていること。それがゆえに守らなければならないルール」。自分の足で確かめてきたことだから、臺野さんの話しは、どれも説得力がある。
やがて雨も小雨になり、一時間遅れで出発。無事、念願のキラコタン岬を満喫することができた。川レンジャーのような活動は、誰もが比較的手軽に参加できる活動。だからこそ多くの人に、実際に自分の足で体験し、体験しなければわからないことを知ってもらういい機会なのだと感じた。
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