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じゅう箱のスミ

2007.JUN

VOL.07


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名人の引きだし

名人 File Number 007

オートバイ名人

釧路北高校教頭・井上政史さん

週末、井上名人はおもむろに自宅車庫のシャッターに手をかける。その向こうには十数台ものオートバイが並ぶ。どれも昭和40年代の懐かしい型ばかり。まだサビにまみれた物もある。「それは解体屋から3000円で買ったんです。サビを落とすところから始めて、乗れるようになるまでの費用は5万円くらいかな。きっかけは新品を買う金がなかっただけ」

この名人、乗るだけじゃない。廃品寸前の品を自分で修理して乗る、いわばオートバイ生命の救世主。いまだ新品には乗ったことがない。19歳から51歳の現在までに名人が命を救ったオートバイは80台余りに上る。

20代後半でリサイクルオートバイでケニアを縦断。スワヒリ語でオートバイは「ピキピキ」。名人はこの旅を「ピキピキサファリ」と称す。そこで気付いたのはスタンドでガソリンが売り切れのことがある。そんな場面に遭遇したら、次のスタンドまでオートバイを押さなければならない。名人は考えた。備えあれば憂いなし―。35歳、オートバイを「押して」100Km歩く計画に挑んだ。重ねて言うが、乗らないで「押した」のだ。分かったのは人馬ならぬ「人バイク一体」の喜び。やはりこの名人、乗るだけじゃない。

今の念願は、大学時代愛用した昭和40年代のHONDA・CB250の廃品を手に入れること。 

「あの時直せなかった場所にもう一回チャレンジしたいな」

この名人芸、本業の教職に役立つことは―「全くありません」とすっきり笑う。(取材・小椋幸子)


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