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じゅう箱のスミ

2005.JUN

VOL.05


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なおちの つっついちゃった

取材はマジック

「わたし、もう一度取材してきます!」。

前号でのこと。自分から「出直し取材」を申し出たのは、じゅう箱記者の一人、向井咲子(19)さん。提出した原稿が情報不足だった。彼女の取材メモを何とか引っ張り合わせまとめようとしていたので、この申し出は嬉しい驚きだった。

今号の執筆には10代が8人も参加している。向井さんもその一人。定時制高校の4年生。働きながら学校に通い、さらに介護ヘルパー2級の資格をとろうと勉強中だ。その合間を縫い、自分から手をあげてくれた。

「取材って楽しいだけじゃないって言うのが分かってきた。でも知らない世界の人の話を聞くのは勉強になる」。そんな言葉も嬉しかった。

昨年11月、女性保護の会主催の高校生と各女性団体のベテランが集う「世代間交流会」で、高校生が「じゅう箱記者」としてベテランさんたちを取材し記事にする企画を提案した。「記事」という宿題がより深い交流を生むはずと思ったから。結果は予想どおり。取材する方もされる方も頭を寄せ合い真剣だ。30分後にはあっちこちで笑い声が飛び交い、ずいぶん仲良くなっていた。

そう、「取材」って人をつなぐマジック

「最近の若者は話しを聞かない」なんて言葉をよく聞くがそうだろうか。「どうせ話したって分かんない」と決めつけている人の言葉は、相手の心にも届かないはずだ。ペンを手にキラキラした目で大人たちの話しに耳を傾ける若者たち、それに応えようとアツク、でも分かりやすく語る大人たちを見る度に思う。

高校生の時、教員の父と同じ高校に通ったことがある。教頭だった父は「なんで学校でシランプリする!」と怒ったが、他の生徒や先生たちに「教頭の娘」と特別視されたくない―という気持ちを「どうせお父さんには分かんない」と言えずに黙って無視し続けた。廊下でわたしを見る度に嬉しそうに笑う父はかなり寂しかっただろう。「嫌いだからじゃないよ」って言えばよかったな―って、今は遺影となった父の笑顔を見て思う。

次は親子取材企画をやってみようかな。

(じゅう箱のスミ編集長・チャレンジ隊代表・佐竹直子)

Photo:交流会で一緒に「じゅう箱のスミ」に読みふける高校生と女性団体のベテランさんたち


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