この企画は、釧路湿原自然再生協議会事務局の提供で、チャレンジ隊がこのまちの自然を考えるコーナーです。 |
NPO法人 トラストサルン釧路
理事長 黒沢信道さん(47)
「トラスト」とは、自然を守るために土地を購入し保護地とする住民活動。トラストサルン釧路も1988年に任意団体として発足以来、全国からの協力金などを資金に186haの土地を保護地として購入。現在は、釧路湿原自然再生事業の一環として、達古武地区で伐採された森林の再生事業を環境省と協働で行う。
一方で、一番大切にしているのは自然の楽しさを多くの人に伝えること。達古武の裸となった森にミズナラの木を植林する「どんぐり記念日」は11年目を迎えた。地元大学生や家族連れなどが、自分たちで拾った森のどんぐりを苗畑に植え、育った苗木を植林する。お昼はワイワイとバーベキュー。「皆で森を取り戻そう」と地道に続ける市民参加事業だ。
「人を自然保護に無理矢理つなげるのは難しい。でも例えば好きな人が傷ついていたら、自分に何にかしてあげられないかなぁと思うでしょ。僕ももともとは野鳥好き。だから鳥たちの森を守りたい。知ってほしいのは、保護の大切さより、まずこの自然の素晴らしさ」。
トラストサルンでは湿原再生事業に合わせた水生昆虫調査、わき水調査などで住民参加事業を積極的に実施する。どれも「楽しむ」が大前提。8月のホタルの生息調査で、こうこうと光る懐中電灯片手に「ホタルがいない!」と叫ぶ参加者の姿に、「調査どころじゃない」と急遽観察会に方向転換。聞くとこの日の参加者、大人でもホタルを一度も見たことがない人が多い。灯りを消した夜の静寂で輝く姿に一同ため息をもらした。
標茶町塘路の山並でのエゾシカの食害から木々を守る防護柵を張る作業=左写真=では、急斜面を工具を担ぎ登った。遊び気分の参加者からは「疲れた―」と弱音も漏れたが、食害で木肌が剥がされ枯死寸前の木々の姿を前にし、そんな声も消えた。
「好きだから長く付き合いたい。僕たちが活動場所を達古武にこだわり続けているのも、あの日植えた木はどうなったんだろう―と10年、20年先のその後を大切にしたいから」と黒沢さん。
大好きだから“長く”“大切に”つきあいたい。
Photo:トラストサルン釧路と環境省が協働で行う達古武森林再生事業に参画した釧路市立駒場小児童。初めて見た木の枝に実るどんぐりに歓声をあげる
トラストサルン釧路では森林再生事業を行う達古武沼畔で11月23日午前10時から探鳥会を行います。参加無料でナントお鍋つき!。釧路湿原自然再生協議会では釧路湿原を中心とした自然の素晴らしさを伝える活動の輪を、皆さんといっしょに広げていきたいと考えています。
LINK 釧路湿原自然再生協議会 Web http://www.kushiro-wetland.jp/
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