チャレンジ隊の人・声・街をつなぐ サクサク情報 おしょーゆマガジン
E-mail >HOME じゅう箱のスミWeb山の学校の会だより>その2

山の学校の会だより 第2号

私が山の学校を訪れる度に泊めてもらうのは校長サフダルの家だ。家にお客さんが来ると、お手伝いさんのようにこまめに働くのが家の子供たち。ランプを磨いたり、食事を運んだりする。一家の長男サタールもランプを磨いたり、食事を運んだり大忙しだ。

サタールは四年生だというが、去年もそうだったような気がして聞いてみた。サタールはうつむいている。サフダルが「実は落第したんだ」と小声で言う。年末試験が通らなかったらしい。校長の息子でも落第するのかと驚いた。

毎年、何人か落第するというから、家の手伝いで学校を休みがちな子には気の毒な話だ。しかし、仕事から解放され、学校に来れた日は、みんな勉強に一生懸命だ。黒板を真剣に見つめ、ちびた鉛筆でノートに字を書いていく。子どもたちの中には、休憩時間に朝ご飯を食べる子もいる。朝の放牧に追われ、食べる時間がなかったのだろう。少し固くなったパンを川の水で飲み込んでいる。

そんな子どもたちに、日本から持参したサッカーボールとバレーボールを差し出すと、表情が輝いた。早速、校舎裏の畑でボールを追いかけ始める子どもたち。しかし、翌日、学校に行くと、みんなしょんぼりしている。畑の持ち主に「羊用の草が伸びなくなる」と怒られたという。残るのは、学校前の狭い道。岩だらけだから、転んだら怪我をするに違いない。運動場を何とかしたいと思った。子どもたちが自由に走り回れるスペースを手に入れようと決心した。

長倉洋海


Copyright(c)2001-2006 Challenge Network Vollunteer Action All Rights Reserved.