学校敷地内の室内プールはこの日室温約30度。「あっつーい」と早くもプールサイドで悲鳴の生徒たち。まずは準備運動だ。「じゅうぶん動いて汗かいてね。水に入ると震えますよ」とは、この日の先生、釧路市水上安全法赤十字奉仕団の指導員の小柳誉隆さん。
「釧路の10代の若者は水に入ったこともない子が多いんです。救助することよりも、まず自分の命を守るために水に慣れることがこの講習の目的です」と話す小柳さんは、水着姿もひきしまってかっこいい!現在、会員は約50人。夏の幣舞橋下でのヨットレースや、釧路川へのサケの稚魚放流などの釧路の水辺のイベントの時、このみなさんが万が一に備えてしっかり警備してくれてたって知ってた?
さぁ、ジャージのまま、いざプールへ!
まずは水を楽しんで
と小柳先生
まずは定番の水しぶきのかけっこでバチャバチャ遊ぶ生徒たち。これって水上運動会?「まずは、水を楽しんで恐怖心をなくすことが大事。だからこれで、いいんですよ」と小柳先生はニコニコ見守る。
さて、講習。
服を着たまま水に落ちたら、浮けるの?
@まず上着の襟元をおさえるA上着のすそを結んでおなかに空気を入れるBひざをまげて空気をためる
…なるほど、浮いてきたぞ。
急な水難。救助グッズなんてない、どーしよー!って時には、身近な生活用品が役立つそう。まずはペットボトル。中身は空にしてね。1個の場合は、まずはあごの下に入れて呼吸を確保。救助を待とう。もう1個あったら、両脇に抱えれば、浮き輪がわり!
クーラーボックスも浮になる!
コンビニの袋も、手にもつ部分を下にして空気をためて持つと簡易浮き輪にはやがわり。バケツも、たくさん空気を入れて逆さにすると、ほーら浮きます。クーラーボックスなら、5人までぶらさがれる!
そうこうしてる間に、生徒たちはなんだか動きがにぶくなってきた。
濡れた服が重くて思うように
進まない…
「濡れたジャージが重たーい!体にくっつくし身動きとれないよ」と悲鳴をあげるのは、石戸谷幸さん(16)。水中ウォーキングにもはりきってチャレンジするが「足が思うように動かない」と困惑顔。「濡れた服では動きずらくなるのはあたりまえ。あせらないのが肝心。落ち着いて、さっきの浮き方をこなせれば体はちゃんと浮かびあがります」と小柳さんはさらにニコニコ。
「寒い!」と震えてた矢羽場知里さん(17)。「動きずらいし、濡れた服が冷たいから」とTシャツになっていたけれど、奉仕団のみなさんによると、これは間違い。救助されるまで水の中で待機するには、濡れた服でも着ていた方が体温が保持できるそうだ。
この日の水温は約20度。長時間つかっていると、けっこう寒い。
手をつないだ行列
「ヒューマンチェーン」
で救助に向おう!
仲間同士で手をつないだ行列で、おぼれた人まで救助に向かう「ヒューマンチェーン」はチームワークが肝心だ。応用編で水中綱引きにも挑戦。水中での力加減がなかなか難しく、力自慢の男性陣も苦戦する。
講習は、約2時間。終盤には、だんだん水中での動きもなれてきたようだが、さて、トラの穴の成果は?
救命胴衣の着脱にも挑戦
「ペットボトルや、コンビニの袋が浮き輪がわりになるっていうのは使えそう。まず、服で水に入るっているのは、自分では絶対にやらない体験!もしもの時に、今日のことが役に立ちそう」と自信をみせるのは伊藤沙弥香さん(17)。
もしもの備えあなたは出来てる?
同奉仕団による着衣水泳講習会、市内の高校では釧路西高校だけで5年前から毎年行われてきたが、学校統合による2008年度の閉校を前に、実はこの日が最後の講習会。 母校での貴重な学びとして、この体験が心と体に、しっかりと残るといいなぁ…。
釧路市水上安全法赤十字奉仕団
水泳が得意!と胸を張る方は、自慢の技能を生かせるボランティア活動。水際の行事での警備のほか、水泳教室への講師派遣、水上安全法講習会なども行う。
日本赤十字が定めた技術講習を受けることが必要。特に若手の新規会員大募集中!
問い合わせは:日本赤十字社釧路市地区 TEL. 0154-23-5151 内線1423