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じゅう箱のスミ

2006.OCTVOL.12

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春の湯通信

 番台歴53年の成澤さん

其の弐


成澤 真弓さん

喫煙率が日本一高いといわれる釧路市の銭湯で、全面禁煙にしたのは当浴場が第一号。「未来を担う子供たちのために」とキャッチフレーズを書き、「場内禁煙」の看板を掲げている。 1998年3月から始めた。スタート時は、喫煙者から色々と言われもしたが、嫌煙家からは、応援の声もかけられた。

 そんな時だった。

 東京から転勤してきた若い男性が「自分の住まいの近くに全面禁煙の銭湯があるなんて」といたく感激しくれた。

 彼は、東京で七年間も「銭湯生活」していたという。ある時、場内のたばこの煙があまりにもひどいものだから、脱衣場だけでも禁煙を考えてほしいと、その銭湯に言ったそうだが、「お客さんの個人的(好きでたばこを吸っている)なことには、口をはさめない」との返事だったそうだ。(現在は、東京都浴場組合に加盟している銭湯は、すべて全面禁煙となっている)

 当浴場では、風呂あがりにゆっくりできると、とても喜んでくれて、それから毎日のように来店。ある日、偶然に同僚(女性)と会った。これが運命的出会い。

 まだ釧路に不案内な彼に、彼女がガイド役を買って出た。中古車を買いたいという彼を案内し、出身地の厚岸町で有名な「厚岸獅子舞」を見せたりしていた。

 休憩ロビーで会うたびに、ゆっくりと話をしていた二人。はじめのうちは、ニコリともしなかった彼が回を重ねるごとに笑顔になり、そのうち、彼が来店すると彼女も、彼女が来店すると彼も…といつも同じような時間に訪れるようになった。なぜ、急に…?

 2年がたち、彼が東京にまた転勤。彼女は契約期間が終わり別な職場にと、離れ離れになってしまった。

 しばらくして、ヒョコリと彼が来店。その後ろに彼女。「あらっ!」「嫁さんにもらいに来ました」と彼。

「コングラッチュレーション!」春の湯がキューピットになっちゃったぁ。

 結婚式での幸せそうな二人の写真が、それから間もなく届いた。



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