聞いていると思わず引き込まれてしまう、とてもやさしいテンポで絵本の朗読をするおばあちゃん。久保田ゆきえさん(80)は、なんと大正生まれ。はたまた、「ぼくたちにも読ませて」と小学生有志が集まり「読み聞かせ隊」を結成。鶴居村の図書館で月に一回行われている「絵本の会」は、毎回素敵な読み手が登場して、訪れる子どもたちを楽しませている。読み手によって「絵本ってこんなに世界があるんだ」と、子どもじゃなくても聞きたくなる、どんどん想像力が膨らんでいく、絵本って素敵ーって感じ!!
「子どもの頃、母親に読んでもらった絵本って、自分なりに勝手に空想を付け加えて、独特の記憶で覚えていませんか」。鶴居村の図書館での月一回の「絵本の会」を担当するつるいキッズプロジェクト代表の酒田桜子さん(38)は、テレビ世代の自分の子どもの頃の記憶の中で、絵本の世界は特別なところにしまわれていると言う。そんな体験をファミコン、DVD、インターネットなど、ますます豊かになった今のビジュアル世代の子どもたちにも持って大人になってほしいと、昨年より読み聞かせの会をはじめた。「今の子どもたちには絵本は動きがなくて、ちょっと退屈に思うけど、本の内容が面白ければかえって新鮮に受け止めてくれます。あとは、読む人のキャラクターによって絵本って、どんどん魅力的になります」。
そしてある時、もともと知り合いだった久保田さんに白羽の矢を立てた。「ゆきえさんと話していると、いつも、なんだか気持ちがよくなったから」と酒田さん。久保田さんは、長い人生の中で人前で朗読するのは初体験。「はじめは、断ったんだよ。でも、どうしてもと言うので一回きりの約束で引き受けました」。
緊張の中、いざ、絵本を読んでみると、子どもたちのキラキラの目が自分の方を真剣に見ているのに感激。「また、読みたいと思った」。
そして、鶴居の「絵本の会」のもう一つの目玉が、小学生による読み聞かせ隊だ。「子どもたちが読んでかわいいー」というものではない。子どもたちの声がこんなに絵本に説得力を持たせるのかと思うぐらい、子どもたちの朗読は人を引き付ける。「一生懸命、何度も練習したから」。下級生や就学前の子どもたちも、おねえちゃん、おにいちゃんの真剣な声と工夫を凝らした演出に夢中だ。みんなの記憶にどんな世界を残すのか、ワクワクだ。
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