お腹が痛くなって病院に行ったけど、広くてどこに行ったらいいか分からな―い…なんてことない?そんな時、そっと優しく声をかけてくれる心強い“助っ人さん”を釧路赤十字病院で見つけた。コンピュータで便利だけどお年寄りにはちょっと難しい受け付けの機械を代わって操作してくれたり、初めてきた患者さんの「どこの科に相談したらいいの?」なんていう相談にも乗ってくれる。誰だって心細い「病」の日に、元気を分けてくれる助っ人さんだ。
「週に何回かなら」が始まり
週始め月曜日の病院のロビーは患者さんでいっぱいだ。受付機前の長い行列でやっと順番が来たのに、コンピュータを操作できずオロオロしているお年寄りにそっと声をかけるのは釧路赤十字病院ボランティアクラブの永田政允会長。
高校の校長先生を定年退職後、知人の誘いに「一週間に何回かのお手伝いなら」と気楽に引き受けたはずが「会長までなっちゃった」と照れくさそう。活動3年目の今はユニフォームのデニムのエプロンもすっかり様になっている。受け付け機の前から姿を消したと思ったら、今度はロビーの隅にしゃがみ込み、外来患者さん用の車いすのタイヤに空気を入れる。
「家から病院まで出てくるだけでも疲れて、ここで歩けなくなる人も多いんです。10数台の車いすはいつもフル回転だから、空気もすぐ抜けちゃんうんです」。混雑したロビーの片隅で、誰に目を向けられることもなく作業は続く。
退院しても患者さんの役に
活動場所はロビーだけじゃない。院内のとある事務室、扉をそっと開くと、そこには治療用のガーゼをせっせと畳む女性が4人。もともとは退職後の病院職員で結成されたこの会。もう10年間、週に1日をこのボランティアに充てている佐藤玲子さん(67)も、病院給食の仕事を退職後、参加した。
「お世話になった病院への恩返しと、仕事を離れても何か患者さんの役に立ちたいって思いもありましたね」。クリスマスには、500枚ものカードを皆で手づくりし、入院患者さんの一人一人にプレゼントした。七夕やひな祭りの飾り付けも、院内を和ませる贈り物だ。
帰り際に「行かないで」
自称「病院とは関係ないただの主婦!」という溝口和子さん(77)も5年前からこの作業に加わっている。最近は入院患者さんの話し相手も頼まれるようになった。
「その方の人生も知らないで行くんですから、緊張してますよ。でも帰り際に『行かないで』と手を握られると、こんなことでも励みになるなら―って思うんです」。
大きな大きな薬箱のすみっこには、病を静かに陰から癒す、あったかい“元気”が隠れていた。
本もお届け中!
現在は25人が登録。ここで紹介した活動のほか、病室に本棚ごと本を出前する「配本サービス」も行っています。新規会員とともに、配本サービスへの家庭で不要になった図書の提供も呼びかけています。問い合わせは釧路赤十字病院地域医療課22―7171まで。釧路赤十字病院ボランティアクラブの活動は間もなく発行予定の市民活動応援マガジン「じゅう箱のスミ」5号でも紹介します。待っててね!
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